2017年9月30日

インデックスファンドやETFもいずれ淘汰の時代に入る



日本取引所グループの発表によると、ブラックロックが東京証券取引所に上場しているETF10本を上場廃止するそうです。

監理銘柄(確認中)の指定:iシェアーズ 米国ハイイールド債券ETF-JDR(iBoxxドル建てLHYC)ほか9銘柄(日本取引所グループ)

いずれも出来高が低迷し、純資産残高の拡大が進まなかったことが要因のようです。「iシェアーズ」シリーズは非常に低コストで優秀なETFでしたが、まだまだ日本には上場を維持するだけの市場性が無かったということですから残念なことです。しかし、投資家の立場かからすると今回の出来事はひとつの示唆を与えてくれます。それは、ETFやインデックスファンドもいずれ淘汰の時代に入るということ。だから、個人投資家もそのあたりをふまえて購入商品を選択しなければならなくなってきたのでしょう。

インデックスファンドやETFというのは一種の装置産業ですから、圧倒的に規模の経済が働く世界です。なぜなら、同じ指数に連動するファンドは基本的にリターンが同じですから、低コストで規模の大きいファンドに資金が集中し、そのファンドは純資産残高が成長することでさらにコストを引き下げ、それが新たな資金を呼び込むという寡占化のメカニズムが働きやすいからです。実際にパッシブファンドの本場である米国では、インデックスファンドやETFはブラックロックとバンガードの2強体制となっています。

こうした先行事例を考えると、日本もいずれ同じような状況になると考えてもおかしくない。とくに最近はインデックスファンドやETFの低コスト化が進みました。同時に毎月分配型投資信託や高コストなアクティブファンドへの批判が高まり、運用会社や販売会社も大々的に売り出しにくくなっている。つまり、運用会社も販売会社も今後、収益性が大きく低下するわけですから、それに耐えうる合理化が必至となる。そうなると、純資産残高があまり増えていないファンドを維持することが難しくなり、ETFの上場廃止や投資信託の繰上償還が増えてくるのではないでしょうか。

とくにインデックスファンドは元々が薄利多売のビジネスモデルですから、競争力を失って純資産残高の拡大が望めないファンドは、まっさきにリストラされる危険性があります。実際に一部ではそういった動きも顕在化しており、例えば三井住友トラスト・アセットマネジメントは低迷している旧世代のインデックスファンドを順次、繰上償還する動きを見せています。

「グローバルREITインデックス・オープン」信託終了(繰上償還)(予定)のお知らせ(三井住友トラスト・アセットマネジメント)
「J-REITインデックス・オープン」信託終了(繰上償還)(予定)のお知らせ(同)
「コモディティ・オープン」信託終了(繰上償還)(予定)のお知らせ(同)
「新興国債券インデックス・オープン」信託終了(繰上償還)(予定)のお知らせ(同)
「新興国株式インデックス・オープン」信託終了(繰上償還)(予定)のお知らせ(同)

近年、日本ではインデックスファンドやETFの競争が激化し、新規設定されたファンドも多い。同じ指数に連動するファンドを各社が設定し、コスト面でもしのぎを削る状態になってきました。それは個人投資家からすれば喜ばしいことです。しかし、インデックス投資は長期投資が基本となりますから、より長期の視点も必要です。それはファンドの将来性という問題。とくにファンドの低コスト化が進み、運用会社に収益面での余裕がなくなれば、いくら優れたファンドでも純資産残高が伸びないことで、あっさりとリストラされてしまう危険性が高まってきたのです。だから個人投資家は、長期的に運用を継続してくれるファンドを選ぶということがますます重要になってきたのではないでしょうか。

では具体的にどうすればいいのかという話ですが、私の場合は基本的に以下の条件をインデックスファンドやETFを選択する際のポイントにしています。

①信託報酬がカテゴリー最安値もしくはそれに準じる水準

インデックスファンドやETFは同じ指数に連動するファンドの運用成績は基本的に同じですから、コストの安さが最大の付加価値となる。そしてコストの安いファンドが集中的に資金を集めることになります。言い換えると、インデックスファンドやETFはコスト競争力がなければ生き残れないのです。

②信託報酬を継続的に引き下げている

インデックスファンドやETFはコストの安さが最大の付加価値ですから、さらに信託報酬が低い競合ファンドが登場することで既存ファンドは競争力を失います。その時に、対抗して信託報酬を引き下げ、競争力を維持することが重要になる。つねにカテゴリー最安値もしくはそれに準じる水準の信託報酬とすることで既存受益者の乗り換えも防止できますから、それもファンドの競争力に直結するのです。

③純資産残高が大きい、もしくは旺盛な資金流入が続いている

純資産残高の少ない投資信託というのは、運用会社からすると収益性が低く、資金流入が少ないというのは成長性が無い商品ということになります。そういったファンドは当然、リストラの対象になりやすい。そして注意すべきは、いくらマザーファンドが巨大でも低迷するベビーファンドは、それこそマザーファンドの収益性を守るために切り捨てられる可能性があるということ。実際に三井住友トラストAMが繰上償還したインデックスファンドは、いずれもマザーファンドは大きいのです。

最近は魅力的なインデックスファンドやETFが増えました。それは個人投資家からすれば幸せなことです。しかし、競争の激化によってインデックスファンドやETFもいずれ淘汰の時代に入ることでしょう。その時、いま存在しているファンドの全てが生き残ることは恐らくできないと思う。長期的には各資産カテゴリーで2~3個のファンドに寡占されていくと思う。それは米国では実際に起こったことです。そういった冷徹な現実も踏まえて商品を選択するということが、ますます重要になってきたような気がします。

【追記】
冒頭に「iシェアーズ」10本の上場廃止について紹介しましたが、これは低迷していたファンドのリストラであると同時に、ブラックロックによるラインアップ改善の一環でもあるようです。NightWalkerさんの記事を読んで、なるどほと思いました。

ETFも改良の時代? iシェアーズ東証上場シリーズが変わります(NightWalker's Investment Blog)
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